
はじめに
赤ちゃんが「立って歩く」瞬間。それは家族にとってとても感動的な出来事です。しかしその裏には、体の構造的な準備が整って初めて成立する“運動の奇跡”が隠されています。
本記事では、赤ちゃんの歩行に関わる「足首の安定性」や「足のアーチ形成」について、距骨二ストの立場からわかりやすく解説します。
なぜ赤ちゃんはすぐには歩けないのか?
生まれてすぐの赤ちゃんは、足首も足の裏もふにゃふにゃ。これはまだ「立つ」ための準備ができていない状態です。筋力も神経系の制御も未熟だからです。
歩くために必要な3つの準備
① 足首(足関節)の安定性
- 歩くには足首が「グラグラしないこと」が前提です。
- 赤ちゃんは最初、足首に体重をかける経験が少ないため、つかまり立ちやハイハイで徐々に筋肉とバランスを育てていきます。
- 特にふくらはぎ(下腿三頭筋)や前脛骨筋の働きが重要です。
② アーチの土台(足底構造)
- 赤ちゃんの足は脂肪が多く、いわゆる「扁平足」です。
- ただしこれは異常ではなく、歩きながら徐々に足裏のアーチが育っていく仕組みです。
- 特に「距骨」「踵骨」にしっかり体重が乗ることがアーチの形成を助けます。
③ 感覚と神経の発達
- 足裏からの「圧覚」「触覚」が脳に伝わることで、赤ちゃんは自分の体を空間でコントロールできるようになります。
- このセンサーの発達が、転ばずに歩く第一歩を支えているのです。
歩き出しのタイミングに個人差がある理由
- 一般的には11〜13ヶ月で歩き始める子が多いですが、早い子は10ヶ月、遅い子は15ヶ月頃になることもあります。
- この違いは「筋肉の発達速度」「足首の安定感」「体格差」などが影響します。
実は、歩くことで足は育つ!
ここがポイントです。
✅ 「アーチができたから歩ける」のではなく、「歩くことでアーチができていく」
この視点はとても重要です。赤ちゃんの足は「使うことで育つ」臓器なのです。
そのためにも、過剰な靴・過保護な環境は控え、裸足で遊ぶ・つかまり立ちをさせるなど、自由な足の発達を促す環境づくりが大切です。
まとめ
赤ちゃんが立って歩くようになるためには、以下の3つがカギです。
- ✅ 足首の安定性(関節と筋肉の協調)
- ✅ アーチの基礎(距骨~踵骨の正しい荷重)
- ✅ 感覚と神経の発達(足底から脳への入力)
歩くことで足が育ち、育った足がさらに歩きを支える。
その発育のループを、家庭環境とサポートで整えていくことが、赤ちゃんの健やかな歩行につながります。