はじめに:膝が痛いのは“膝だけ”の問題ではない
膝の痛みで来院される方の多くは、真っ先に「膝に注射」「筋トレ」「サポーター」といった対処を考えます。
もちろん、膝の関節や筋肉に炎症や変形がある場合、それらも大切なアプローチです。
しかし実際の臨床では、膝そのものが原因ではなく、「足の歪み」から連鎖しているケースが非常に多いのです。
とくに、足の土台となる「距骨(きょこつ)」の傾きやねじれは、膝への負担を大きく左右します。
距骨とは?見落とされがちな“体重の要”
距骨は、足首の中央にある小さな骨で、すね(脛骨)と踵骨の間に位置しています。
この距骨がほんの数ミリ傾くだけで、
・足首のねじれ
・膝関節のねじれ
・股関節の回旋
といった全身のバランス崩壊の連鎖が起こります。
つまり距骨は、家でいえば「基礎の土台」。
どんなに立派な建物でも、土台が傾けば上の階が歪むのと同じです。
膝関節もまた、足の土台が狂えば必ず影響を受けます。
膝の痛みと距骨の関係:典型的なパターン
膝が痛い方の多くに見られるのが、次のような距骨の歪みです。
- 内反膝(O脚)タイプ:距骨が内側に倒れ、膝の内側に負担
- 外反膝(X脚)タイプ:距骨が外側に倒れ、膝の外側にストレス
- 偏平足タイプ:距骨の沈み込みにより、膝が内旋・ねじれ
これらはいずれも膝だけをケアしても根本改善しにくい症状。
だからこそ、まず“距骨”という足の起点を正しく整える必要があります。
距骨調整で何が変わるのか?
距骨調整によって足首の角度・重心・着地ラインが整うと、
膝への負担が自然に減っていきます。
具体的には、
- 歩く時の膝のねじれが取れる
- 立っていても膝がロックしにくくなる
- 階段での痛みが軽くなる
- 下肢全体の筋肉バランス(特に内転筋・ハムストリングス)が正常に戻る
これらの変化は、膝を「支える」構造を正すことでしか得られません。
その第一歩が、距骨なのです。
膝の痛みの本当の治し方とは
膝は「結果」であって「原因」ではないケースが多い。
だからこそ、私たちは膝を診るときに、足首・距骨から上を見上げる視点を持つ必要があります。
どんなに高価なサプリや最新の電気治療をしても、
土台である距骨が傾いたままでは、膝への負担は消えません。
土台が変われば、膝は自然に軽くなります。
これが距骨調整が目指す“根本改善”の考え方です。
まとめ:膝を守るには「足元を見直す」
膝が痛いと「膝を治そう」と考えがちですが、
本当に見るべきはその下――“足の土台”です。
距骨調整は、
膝の痛みを軽減するだけでなく、再発しにくい身体づくりにもつながります。
もしあなたが慢性的な膝痛で悩んでいるなら、
一度「足元の歪み」から見直してみてください。
きっと、身体のバランスが変わる感覚を体験できるはずです。





