トレーニングの世界でよく耳にする「ヒンジ」という言葉。初めて聞くと難しそうに感じますが、実はとてもシンプルで、股関節を“ちょうつがい(ヒンジ)”のように折りたたむ動きのことを指します。デッドリフトやスクワットなど、多くの下半身トレーニングの基礎になっている動作です。
ドアが決まった軌道で滑らかに動くように、人の身体も股関節を軸にすると無駄なく力を発揮でき、腰に負担をかけずに動けます。逆にヒンジができていないと、腰が丸まりやすく、太もも前だけを使うフォームになり、ケガや痛みの原因にもなります。だからこそ、トレーナーは「まずヒンジを覚えましょう」と強調するのです。
しかし、ここで見落とされがちなのが “足の土台” の存在です。実はヒンジは股関節だけの問題ではなく、足部の中心にある 距骨(きょこつ) が深く関わっています。距骨は膝とも筋肉とも直接つながらない特殊な骨で、全身のバランス調整を担う“ジャイロ”のような役割を果たしています。
ヒンジ動作では重心がかかと寄りに移動し、足裏での細かいバランス調整が起こります。このとき距骨が内側や外側に倒れてしまっていると、股関節がうまく折れず、お尻に力が入らず、結果として腰だけで動いてしまうフォームになります。つまり 距骨の位置がズレていると、ヒンジが崩れる → 腰痛につながる という構図です。
反対に、距骨がまっすぐ立ち、足裏のアーチが保たれると、重心の軌道が安定し、股関節がスムーズに動きます。これが良いヒンジの条件です。ヒンジが整うと、デッドリフト・スクワットの安定性が増し、日常動作でも腰を痛めにくくなります。
つまり、ヒンジを極める近道は 「股関節 × 距骨」 をセットで整えること。トレーニングだけでは改善しきれない人が、距骨調整で一気にフォームが変わるのはそのためです。
ヒンジが身につくと、体の使い方が劇的に変わります。腰に頼らず、お尻と太もも裏がしっかり働き、全身が連動する。トレーニング効果も、日常の動きやすさも、大きく向上します。
あなたのヒンジが「股関節頼りになっていないか?」
「距骨の軸が立っているか?」
気になる方は、ぜひ一度専門家にチェックしてみてください。





