「レントゲンを撮るとガンになる」と心配する声を耳にすることがあります。
しかし実際のところ、レントゲン検査で浴びる放射線量はとても少なく、日常生活で自然に浴びている放射線と比べてもごくわずかです。今回はその実態をわかりやすく解説します。
レントゲンの被ばく量はどれくらい?
医療で使われる放射線量の目安を表にまとめると以下の通りです。
- 胸部レントゲン(1回): 約0.05 mSv
- 胃のバリウム検査: 約3〜6 mSv
- 頭部CT: 約2 mSv
- 腹部CT: 約10 mSv
一方で、私たちは日常生活の中で自然に放射線を浴びています。
例えば、日本人が1年間に自然界から受ける放射線は 約2.1 mSv。
胸のレントゲン1回は、この年間自然放射線量のわずか 約40分の1 程度に過ぎません。
生活の中の「放射線」と比較
もっとイメージしやすい比較をしてみましょう。
- 飛行機で東京→ニューヨークを往復: 約0.2 mSv
- 胸部レントゲン: 約0.05 mSv
つまり、飛行機で海外旅行するよりも胸のレントゲンの方が被ばく量は少ないのです。
「旅行で浴びる放射線」と同じくらいと考えると、不安はぐっと減るのではないでしょうか。
ガンになるリスクは?
放射線による発がんリスクが有意に増えるのは 100 mSvを超えたあたり からといわれています。
胸部レントゲン1回(0.05 mSv)では、その 2,000回以上 撮らないとリスクが確認できないレベルです。
つまり、通常の診療で数回レントゲンを受けても、ガンになる可能性はほぼゼロといえます。
大切なのは「病気を見逃さないこと」
被ばくを恐れて検査を避けることで、肺炎や骨折、腫瘍などの病気を見逃す方がずっとリスクは大きいです。
必要と判断された検査は安心して受けることが、健康を守るために大切なのです。
まとめ
- 胸部レントゲンの被ばく量はわずか 0.05 mSv。
- 日常生活や海外旅行で浴びる放射線より少ない。
- 数回の検査でガンになる心配はほとんど不要。
「レントゲンでガンになる」というのは誤解です。
むしろ病気を早期に発見するための大切な検査だと知っておきましょう。