今回は、年齢を重ねた方に多く見られる「拘縮(こうしゅく)」についてお話しします。
- 足が伸びない
- 肩が固まって腕が上がらない
- 手の指が丸まって開かない
- 関節が動かないから着替えや歩行が大変
このような症状にお悩みの方、あるいはご家族で介護している方も多いと思います。
🧠 そもそも「拘縮」って何?
拘縮とは、関節周囲の筋肉や腱、靭帯などが固まってしまい、関節の動きが制限される状態のことをいいます。
特に高齢者に多いのは、以下のようなタイプ:
- ベッドで寝ている時間が長い → 使わない関節が固まる
- 脳血管障害(脳梗塞など)後 → 神経性の拘縮
- 認知症 → 自発的に動かさないため進行しやすい
🔍 拘縮は「放っておくと悪化する」
拘縮は、**使わない→固まる→動かせない→さらに使わない…**という悪循環に陥りやすく、早めの対処がとても大切です。
✅ 老人性拘縮への対応法【5つの基本】
① 毎日の「他動運動」で動きをキープ
→ 本人が動かせなくても、他者がゆっくり関節を動かすことで、拘縮予防・改善になります。
→ 無理なストレッチは禁物。痛みが出ない範囲で。
② 関節にやさしい温熱療法
→ ホットパックや足湯などで血流を促進し、筋肉の緊張を緩める。
→ 朝や寒い季節に特に効果的です。
③ ポジショニング(寝姿勢)の工夫
→ 長時間同じ姿勢で寝ていると関節が固まりやすくなるため、枕・クッションで角度を調整。
→ 特に「肘」「股関節」「足首」まわりが要注意です。
④ 適切な装具やサポーターの活用
→ 指や手首の拘縮には「装具」を使って伸展位をキープする方法もあります。
→ 必ずリハビリ職(PT/OT)や医師と相談を。
⑤ 専門家の施術での定期ケア
→ 拘縮は“じわじわ”進行します。整体やリハビリでプロの手による可動域改善や筋膜リリースを受けることで、進行を食い止められます。
💡 「もう戻らない」とあきらめないで
「年だから仕方ない」
「ずっと寝てるから、もう動かない」
そう言って何もしないまま固まってしまうのが一番危険です。
拘縮は、“完全に元に戻らなくても”、
少しずつ柔らかくすること・動ける範囲を広げることはできます。
そしてそれが、
✅ 座位保持
✅ トイレ動作
✅ 着替え・食事の自立
などにつながって、QOL(生活の質)を大きく上げるのです。
👣 ご家族ができること
- 一日1〜2回でいいので、優しく手足を動かしてあげる
- 関節に触れて、今どのくらい動くかチェックしてみる
- 痛みがある or 進行が早い場合は、すぐに専門家に相談