意外と多い「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」とは?
臨床の現場にいると、足が赤く腫れて痛いという相談は珍しくありません。
「打撲かな?」「歩きすぎたからむくんでるだけ?」と思っている方も多いのですが、実は 蜂窩織炎 という感染症であることがよくあります。
蜂窩織炎とは、皮膚の深いところ(皮下組織)に細菌が入り込み炎症が広がってしまう状態です。
原因となる細菌は、普段皮膚にいる 黄色ブドウ球菌 や 溶連菌。
水虫・巻き爪・靴ずれ・かさぶた・虫刺されなど、小さな傷から菌が侵入してしまうのがきっかけです。
蜂窩織炎の特徴(セルフチェックポイント)
以下の特徴がそろっていたら注意です。
- 触ると 熱い
- ズキズキとした痛み
- 赤みが じわっと広がる
- 足が パンパンにむくむ
- 歩くと 痛くて重い
- 時に 発熱・悪寒が出る
特に ふくらはぎ〜足首〜足背に多く見られます。
打撲・筋肉痛・捻挫と決定的に違う点
蜂窩織炎は、筋肉や靭帯のケガではありません。感染です。
そのため、
揉んだり、押したり、温めると悪化します。
むしろ炎症が広がり、入院レベルになることもあります。
整体・マッサージ店で「血流を良くしましょう」と施術を受けてしまい、
翌日さらに腫れが強くなって来院されるケースは非常に多いです。
似た病気とどう見分ける?(現場で使える簡易鑑別)
| 病名 | どこが炎症? | 見た目の特徴 | 触診の特徴 |
|---|---|---|---|
| 蜂窩織炎 | 皮下組織 | 赤みがぼわっと広がる | 熱感が強い・圧痛 |
| 丹毒 | 真皮層 | 境界がくっきり赤い | 表面がツルっと光る |
| 深部静脈血栓症(DVT) | 静脈 | 赤みは少なめ | ふくらはぎ中央に強い圧痛 |
このあたりは 現場での目の付け所になります。
治療はどうする?
基本は 抗生物質 です。
症状が強い場合は、点滴や入院が必要になることもあります。
また、
- 患部を冷やしすぎない
- 患部を心臓より少し高くする(挙上)
- 無理に歩きすぎない
などのセルフケアも重要です。
整体・リハビリの現場で大切なこと
私たちのような手技療法の現場で最も大切なのは、
「見抜くこと」と「施術しない判断ができること」。
赤み・熱感・ズキズキ痛があるときは、
まず内科・皮膚科への受診を案内します。
適切な判断ができることは、施術者の信頼にも直結します。
まとめ
蜂窩織炎は“揉んではいけない足の腫れ”。
赤い・熱い・痛い・むくむ が揃ったら医療受診を。**
足は身体を支える土台です。
痛みをごまかさず、正しく評価し、適切に対処することが何より大切です。





