安定すると不安定になる人へ
――距骨と、揺れながら生きるという選択
最近、街が静かです。
クリスマスでも、どこか控えめ。
無理をしない。失敗をしない。確実に生きる。
そういう空気が、社会全体に広がっているように感じます。
それ自体は、とても合理的です。
一度の失敗のコストが高く、やり直しが効きにくい時代。
慎重になるのは当然です。
ただ、その「正解」が、
すべての人に合うわけではない
という点は、あまり語られません。
安定が合わない人は、確実にいる
正直に言えば、
私自身は失敗ばかりしています。
事業拡大など、冷静に考えれば
「しない方がいいに決まっている」ことも多い。
それでも、
安定している状態が続くと、精神的に不安定になる
この感覚が、はっきりあります。
安心しているはずなのに、落ち着かない。
トラブルはないのに、面白くない。
そして、内側からザワザワしてくる。
これは性格の問題ではなく、
構造の問題だと思っています。
整体の現場で見える「安定の弊害」
整体をしていると、
一見とても安定している人がいます。
・大きな痛みはない
・生活も乱れていない
・仕事も安定している
でも体を見ると、
・呼吸が浅い
・関節の遊びがない
・常にどこか力が入っている
これは「安定」ではなく、
固めて動かない状態です。
人の体は本来、
揺れながらバランスを取ります。
揺れて、戻って、また揺れる。
揺れない体は、
強いようでいて、実は脆い。
距骨は「動くための安定」
ここで距骨の話をします。
距骨は、
足首の中心にあり、
体重を受け止めながら、
歩行や方向転換を可能にする骨です。
重要なのは、
距骨は固定されるための骨ではない
ということ。
安定している距骨とは、
ガチガチに固まっている状態ではなく、
必要なだけ動ける状態です。
・体重を受け止める
・地面の変化に対応する
・上半身を自由にする
この役割が果たせていると、
人は「動きながら安定」できます。
人生も、同じ構造をしている
人生も、体とよく似ています。
全部を安定させようとすると、
動けなくなる。
動けなくなると、
内側から不調が出る。
逆に、
土台が不安定なまま、
上だけ動かそうとすると壊れる。
だから必要なのは、
・土台は安定させる
・その上で揺れることを許す
このバランスです。
拡大しない方が正しい。でも…
事業拡大をしない方がいい。
これは、一般論としては正しい。
リスクは増えるし、
管理は難しくなるし、
精神的な負荷も上がる。
でも、
動かないことがリスクになる人
が、確実に存在します。
そういう人にとっては、
安定=回復
ではなく、
安定=停滞
停滞=不調
になる。
私自身が、まさにそうです。
失敗しないことより、戻れること
大事なのは、
失敗しない人生を目指すことではありません。
失敗しても、戻れる構造を持つこと。
体で言えば、
距骨がきちんと機能していれば、
多少バランスを崩しても、
また立てる。
人生も同じです。
土台があれば、
揺れていい。
挑戦していい。
失敗しても、戻れる。
安定していると不安定になる人へ
もしあなたが、
・安定しているのに落ち着かない
・順調なのに、つまらない
・動きたくて仕方がない
そう感じているなら、
それは異常ではありません。
あなたは、
動いていることで安定するタイプ
なのだと思います。
距骨がそうであるように、
人生の土台も、
「動ける安定」を目指していい。
揺れながら、進む。
それが合う人も、確実にいる。
今の静かな社会だからこそ、
その感覚は、より際立っているのかもしれません。





