はじめに
プロ野球界では、往年の名選手たちが若手選手に苦言を呈する場面がよくあります。その際、決まり文句のように出てくるのが、
✅ 「走り込みが足りない」
✅ 「体幹が弱い」
このフレーズです。しかし、現代の野球は昔よりも確実にレベルが上がっている ことを考えると、なぜ彼らはこうした指摘をするのでしょうか?
単なる「昔はよかった」という懐古主義ではなく、この言葉の裏には 野球の本質に関わる重要な要素 が隠れています。本記事では、その理由を深掘りしていきます。
1. 「走り込みが足りない」と言われる理由
昭和から平成初期にかけて、「走り込みはすべての基本」 という考えが野球界に根付いていました。
📌 なぜ走り込みが重要だったのか?
- 試合を最後まで戦い抜くスタミナをつけるため
- 下半身を強化し、投球・打撃の土台を作るため
- メンタルを鍛えるため(しんどい練習に耐えられる選手は強い)
たとえば、野村克也氏は「ピッチャーは足で投げる」と語っています。これは、下半身の安定が投球フォームの再現性を高め、球速やコントロールに直結する という理論に基づいています。
また、落合博満氏は「走れない奴は野球をやる資格がない」とまで言っています。走り込みを怠ると、シーズン終盤でのバテ、守備の足運びの悪化、スイングスピードの低下 など、パフォーマンス全体に影響を及ぼすからです。
しかし、現代のトレーニング理論では、無闇な長距離走は 瞬発系の動きが重要な野球には適していない とも言われています。
👉 昔の走り込みが「正解」だったとは限らないが、基礎体力を軽視すると成長にブレーキがかかる というのは今も変わらないのです。
2. 「体幹が弱い」と言われる理由
最近のレジェンドたちがよく口にするのが、「体幹が弱い」 という言葉です。
📌 体幹とは?
体幹とは、胴体部分の筋肉 のこと。単に「腹筋・背筋が弱い」という意味ではなく、プレーの安定性・パワーの伝達効率 に直結する要素です。
体幹が弱い選手は、強いボールを投げられない
そもそも、体幹が弱い状態で強いボールを投げることは物理的に不可能 です。
⚠ 下半身の力がうまく伝わらず、腕だけの投げ方になる
⚠ 体がブレて、リリースポイントが安定しない
⚠ 無理なフォームになり、肩や肘への負担が増える
つまり、体幹が弱い状態で球速を上げようとすると、フォームが崩れやすくなり、ケガのリスクも高まる のです。
昔の選手は自然と「体幹」が鍛えられていた?
今のような体幹トレーニングが体系化される前、昔の選手たちは何をしていたか?
🏃 走り込み → 下半身の安定&持久力強化
⚾ 素振り・投げ込み → 体幹の筋力を自然と鍛える
🔄 実戦的な練習(壁当て・坂道ダッシュ) → 体幹を使わざるを得ない動作
つまり、昔のトレーニング自体が「体幹トレーニング」になっていた のです。
一方、今の選手たちはウエイトトレーニングや個別メニューが主流で、昔ながらの走り込みや反復練習が減っている。
これが、レジェンドたちが**「最近の選手は体幹が弱い」** と言う理由の一つです。
3. 現代野球の進化とトレーニングのギャップ
ここで重要なのは、昔の野球よりも今の野球の方が確実にレベルが高い という事実です。
技術・フィジカル・戦術の進化
✅ 球速の向上 → 昔ならエース級だった140km/hが、今では普通
✅ 打者のスイングスピードの向上 → 筋力アップ+フライボール革命
✅ 守備・戦術の進化 → データ分析による最適なポジショニング
昔の選手が今の時代に来たら、同じように活躍できるとは限りません。
ただし、もし彼らが現代のトレーニングやデータ活用を取り入れたとしたら、トップ選手になれる可能性もあります。
つまり、「昔の選手だから通用しない」のではなく、「昔のやり方のままでは通用しない」 ということです。
4. なぜレジェンドたちは「走り込みが足りない」と言うのか?
今の選手は科学的なトレーニングを取り入れ、効率的に鍛えています。それなのに、なぜレジェンドたちは「走り込み不足」「体幹が弱い」と言うのでしょうか?
✅ 「今の選手はウエイトトレーニングなどをやるが、実戦で必要なフィジカルの土台作りが不十分」
✅ 「データや理論に頼りすぎて、泥臭い反復練習の重要性が軽視されがち」
✅ 「基礎を怠っている選手が、早く結果を求めすぎてしまう」
つまり、レジェンドたちは単に昔を美化しているのではなく、「今の野球に足りないもの」 を指摘しているのです。
結論:昔と今の良さを融合させることが理想
✅ 「昔の選手の方が優れていた」というのは誤解。現代の野球の方が確実にレベルは上がっている
✅ ただし、現代野球のトレーニングの中で「基礎作り」が軽視される傾向がある
✅ レジェンドたちの言葉は「基礎の大切さ」を伝えるための警鐘
過去の知恵と現代の科学を融合させることが、未来のプロ野球をさらに進化させる鍵になるのではないでしょうか。