一般的な人の認識として、
『肩が上がらない=50肩』が浸透しすぎていて困る事があります。
『50肩ですよね?』と診る前から言ってくる方がいるので
『あーどこかで診断が出ているのですね?』と聞くと
『いえ、そうじゃないかなーと自分の判断です』
という場合がよくあります。
これも誤った認識によるものだとは思いますが
しっかりと鑑別していく必要性についてお話していきます。
肩の怪我をほおっておいて半年後来院。その結果は? | ウナホネくん日記
腱板断裂
転んで肩を打ちました。骨には異常がないのでそのままにしましたが最悪の結果になりました・・・ | ウナホネくん日記
かつてこんな投稿がありましたが
肩甲骨と上腕骨をつなぎ止めておく『棘上筋』という
小さい筋肉があるのですが
(インナーマッスル)
これが転倒などの衝撃で切れる事があります。
肩が上がらないという点だけみれば
50肩と非常に近似します。
50肩は原因がなく上がらなくなるのに対して
こちらの腱板断裂ははっきりした外傷起因があります。
おそらく三角巾などで吊らないと腕が痛いと思います。
それとこの疾患は完全断裂をしていると
『手術の適応』になります。部分断裂だと
手術をしないで治せることも可能です。
断裂に際しては『MRI』を撮る必要があります。
50肩
まず名称についてですが、最近はみなさん若くなっている傾向で
筋肉もそうなのでしょう、50〜60歳代でなる方は減少傾向に
あります。実際は70代から多いような気がします。
この疾患ですが段々と肩が上がらなくなってくるという症状の経過が
あります。それと夜間痛。痛くて夜寝ている時に起きてしまう事が
あります。そして原因ははっきりしません。
急激な疼痛は日を追うごとに治まってきますが
肩が上がらないという可動制限は半年から長い人で2年くらい続きます。
肩の可動制限はあるものの。短期で治ってしまうものは
50肩ではありません。一過性のものもあります。
医療機関に行って、病名がはっきりしない3つの理由 | ウナホネくん日記
石灰沈着性腱炎
いわゆる『肩にカルシウムが溜まる』という
疾患ですが、こちらの症状は
-
突然肩が上がらなくなり
-
夜は眠れない
-
はっきりとした原因がない
という3つの特徴があります。
どうですか?上記に示した2つの疾患に似てませんか?
日頃遭遇している僕から言わせれば
この3つは本当に似ています。
この疾患ですが、疑われる場合は
整形外科に行って頂きます。
処置としては『ステロイド注射』をするようですが
これが良く効くようです。おおむね1回すると
かなり楽になるようです。
なぜ石灰が溜まるかはわかっていません。
ホルモン説などいろいろ言われていますが・・・
まとめてみました
わかりやすいようにまとめましたが 改めて診てもどれも非常に似ている事に気づきます。
疾患名 | 原因 | 可動制限 | 夜間痛 |
---|---|---|---|
腱板断裂 | ◯ 転倒など | ◯ 石灰沈着性腱炎と似ています | ◯ |
50肩 | × | ◯ 徐々に上がらなくなります | ◯ 石灰沈着性腱炎ほどではない |
石灰沈着性腱炎 | × | ◯ おおむね激痛 | ◯ 基本的に眠れないと思います |
いずれにせよ早めの受診をしてください。 早期治療が早期回復の1番の手だてです。
【おっと!もうひとつ】
新しく買った靴を履いたら雨。最悪です。