整骨院や鍼灸院を開業するのには保健所の許可がないとできません。
当院は『整骨院』『鍼灸院』両方の許可を得ていますので
それぞれの特性を知っていますし、今回はこれから開業する人
『整骨院』『鍼灸院』の併設を考えている人のためになればと思い
その手順を順を追って説明していこうと思います。
最後まで読んでいただければ幸いです。
物件を決める前に保健所へ
本題に入る前に今回保健所の方に言われたのですが
『本当にこの場所でできるかわからないので物件は決める前に
1度来てください』と言われました。
僕は整骨院開業時には内装もすべて仕上げてから最後に保健所に
行ったので、なぜそんなこと言われるのかと思ったのですが
『水回りに行く前に施術室を通って行かないといけないなど
動線上不備があると申請がおりないのでそういうことがないように
前段階として確認しに来て欲しい』とのこと
『特に狭小スペースで鍼灸・整骨院を考えてる人はお願いします』
特に念を押されました。(当院もギリギリでした)
施術室は専用の施術室なので、通路になっては、いけないとのこと。
でも物件を抑えるのはほんの一瞬のタイミングだし
そんな保健所に確認行ってからなんて言ってたらおそらく他の人に
取られちゃう可能性もでてくると思うので
現実的には6.6㎡の施術室、3.3㎡の待合室があればいいわけで
なかなかそこまでする人はいないと思います。
先に言ってしまいますが、かく行政区域ひいては担当する方によっても
チェックの度合いは相当変わってきます。
ある行政区域は書類の提出だけで実地検査はないそうです。
今回も同じ新宿区ですが整骨院開業時のチェックとは大きく隔たりがあり
かなりびっくりしました。
そういう意味では新宿区は厳しく、担当する方も
かなり厳格な方だったということがわかります。
しかしこればかりは指名したりすることができませんので
これから開業する方の運次第ということになります。
開設の手順
さきほども言いましたが
『整骨院』を開業している個人事業主の先生が『鍼灸院』を併設するには
どうしたらいいのかを説明していきます。
新たに申請する『鍼灸院』のレイアウト保健所に提出
整骨院の院長がダブルライセンスで
『鍼灸師』『柔整師』を所持している場合
この場合ですと新たにレイアウトを変える必要がありません。
院長は1人ですので治療を同時に行うことはありません。
ですから、施術室は『鍼灸』『柔整』2つの側面が被っても構いません。
このケースが最もスタンダードで大変なことが少ないと思います。
スタッフ(鍼灸師)の免許で開設する場合
この場合ですと、鍼灸と柔整が同時に施術を行う可能性があるため
6.6㎡の施術室がそれぞれ必要になります。
ここが厄介な部分です(プラス待合室3.3㎡)
さらに施術室間は間仕切りが必要になり
(カーテンや下に車輪がついた移動できるものは不可)
簡単な衝立をおいた程度であればまずはねられます。
その上でビスで固定する必要があり
高さ制限や幅の規定はありませんが
これも保健所の担当者にしっかり提示しどれを使うかは
確認を取ったほうがよいと思います。
(作ってからNGだとやり直しになる可能性があります)
ちなみにまだ相談上の時ですが
これはOKをもらいました。
突っ張り棒タイプの間仕切りです。
最終的に業者に任せたのでこれにはしませんでした。
これが必ず通るかはまた別の問題なので
悪しからず。
㎡数に関して
レイアウト等はご自分で寸法を出す方はあまりいないと思いますが
新宿の保健所は2年前からデジタルの計測器を使用しているようで
1ミリたりともごまかしはきかないようです。
3年前の当院のチェックの時はそのようなものはありませんでした。
必ず業者に頼み申請図を作りましょう。
書類の準備
申請のレイアウトが通ったら次は必要書類が
ありますのでそれを用意します。
ですので必要な書類等は
- 印鑑
- 整骨院の申請図面1部
- 鍼灸院の申請図面2部
- 開設届け
- 施術所開設届出事項一部変更届
が必要になりますのでご確認ください。
開設届け
①開設者住所
開設者の現在お住みになっている住所が必要です。
法人の場合は事務所の所在地です。
それと電話番号
②開設年月日
これは申請に行った日でも構いません。
③名称
『鍼灸院』の名称を決めます。最近は〇〇鍼灸整骨院の表記が
難しいようで『整骨院』『鍼灸院』別々です。
インパクトのある名前をつけましょう。
どじょうとかなまずとか(笑)
④開設の場所
整骨院のところに併設させるわけですから整骨院と
同じ住所になります。
⑤業務の種類
『はり』『きゅう』にチェックをいれます。
⑥業務に従事する施術者の氏名等
鍼灸の免許を持った方の名前を書きます。
複数人いるのならば、登録しましょう。
院長のダブルライセンスであれば
院長の名前になります。
⑦目のみえないもの
健常者の方であればここは関係ないので斜線でOKです。
⑧種別
今回はここには『鍼灸』と書きます。
⑨免許証の交付者氏名、免許証番号及び登録年月日
『厚生労働大臣』と書き6桁の番号と登録年月日を記載します。
(すべて免許証に記載されています)
⑩専用の施術室の面積
鍼灸院となる部分の面積を記載します。待合室も別途記載する必要があります
⑪外気開放面積
要は窓があるかないかということですけど
当院は地下なのでありません。
窓がなくても換気装置があればOKです。
⑫換気装置
ここはあるか、ないかの記載ですので
大きさの制約などはありません。
⑬器具、手指等の消毒設備
なにを消毒に使っているかということですが
『アルコール』が多いのではないでしょうか?
⑭開設者の免許
僕は鍼灸の免許は持っていなので『無』になります。
解説者が『鍼灸師』の免許を持っていれば『有』になります。
施術所開設届出事項中一部変更届
なんだか中国語のような長い文言ですが
既存の『整骨院』で申請した図面等が一部変更になりますので
前述した『開設届け』とともにこちらを提出しないといけません。
(鍼灸院単独の場合は必要がありません)
だいたいの手順は『開設届け』と一緒ですが 説明していきます。
①開設者住所
開設者の現在お住まいの住所を書きましょう。
②開設の年月日
ここは『整骨院』の開業日になります。
ちなみに当院は平成24年9月5日です。
③名称
整骨院の名称を書きます。
④開設の場所
整骨院の開設の場所を書きます。
⑤変更した事項
『構造設備の概要』にチェックを入れます
『旧』と『新』がありますので
『旧』には別図のとおりと書き
『新』にも別図のとおりと書きそれに加えて
鍼灸院併設と記載します。
『変更年月日』は提出日になります。
実地検査
申請図の許可を得て、必要書類のチェックが終わると
いよいよ最後になります『実地検査』です。
ここまで来れば終了は間近となりますが
何も後ろめたいことないのにも関わらず
ドキドキするのはなぜでしょう?
(経験のある方はよくわかるはず)
日時を決める
おおよそ都合通り来てもらえるはずです。
診療時間中にというのは難しいと思うので
昼休みが無難ではないかと思います。
検査時間は?
僕は担当者から30分くらいと言われました。
整骨院の時は5分ほどでした。
この時間からもわかるとおり
担当者次第でかなりバラつきがあります。
ありすぎです。
申請図面が実際とあっているかは
ちゃんとしっかり測ります。
検査はまずはそこから始まります。
以下が担当者から実地検査において注意されたことです。
ご参考までに
看板
看板は特にいじらないようにしていますが
(鍼灸治療がいつまで維持できるかわからないので)
担当者からは鍼灸院も併設しているということは
明記しておいてください、と言われました。
タオル
トイレ内におけるタオルは衛生上使い捨てのほうが好ましい
と言われました。1つのタオルを使い続ける形は
取らないでくださいとのこと。
カルテの管理
カルテの枚数が5000枚を超えたら
管理を施錠するように言われました。
個人情報の取り扱いにより一層
気をつけなさいと言う意味でしょうか?
鍼の捨て方
注射と同じ扱いと思っていいと思います。
産廃業者に処理をしてもらうので
一般ゴミと一緒に捨てていけません。
消毒するものの管理
アルコールなどの消毒液をつぎ足しつぎ足しでやっていると
古いものも混ざってしまいます。アルコールは秘伝のタレでは
ありませんので、印をつけておいて量をしっかり把握しておくように
言われました。
膿盆
針を入れたりするものですが
きれいにしておくようにも言われました。
当たり前のことだと思います。
最後に
ここまで来れば開設届け等
審査を通りましたという印鑑が押されたものが
返されます。
これで晴れて終了です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。